「止まる」にはいくつかの段階がある
ライティングが止まるとき、実際には語彙や文法よりも前の段階で止まっていることが少なくありません。質問の意味を正確に理解できていない、意見が決まらない、理由が思いつかないといった段階です。
この段階で止まっている場合、語彙や文法の練習を増やしても、止まる場所そのものは変わりません。
止まる原因を5つに分けて考える

- 質問の意味が正確に取れていない(設問を読み違えている)
- 意見(賛成・反対など)がその場で決められない
- 理由や具体例が思いつかない
- 日本語では言えるが、英語にする段階で止まる
- 使える語彙・文法の範囲が狭く、書き出した文を組み立てられない
級によって、「書く」課題が違う
「英検のライティングで止まる」と言っても、3級と2級では止まる場所が違うことがよくあります。日本英語検定協会の各級の試験内容ページによると、現在のライティングは次のとおりです。2024年度第1回の問題形式リニューアルでは、1級から3級でライティングが1題から2題に増え、3級と準2級ではEメール問題、2級では英文要約が加わりました。3級は一次試験の時間も50分から65分に延長されています。古い問題集では、この形式と合わないことがあります。
3級の意見論述は、公式の採点基準ページで語数の目安が25語から35語とされ、内容、構成、語彙、文法の4つの観点で採点されます。準2級と2級でも、観点は内容、構成、語彙、文法です。語数は級と課題ごとに異なり、変更されることもあるため、ここでは数字を並べず、最新の問題冊子で確認する形にしています。Petraの英検ライティングの練習ページでは、級別の課題を練習できます。
症状から原因を見分ける診断表
止まる原因に合わない練習を続けても、止まる場所は変わりません。次の表で、お子さまの様子に近い行を探し、確認の方法と練習を試してください。要約がある級(準2級プラスと2級)では、最後の行が特に関係します。
| 症状 | 考えられる原因 | すぐできる確認 | 練習 |
|---|---|---|---|
| アイデアが出ない | 理由や例の引き出し不足 | 口頭で理由を二つ言えるか | 時間を決めて理由を書き出す「アイデア帳」を作る |
| 言えるのに文にならない | 文法・文型の出力 | 日本語で答えを言えるのに英語で書けないか | よく使う文型を数個固定し、置き換えて書く |
| Eメールで質問に答え漏れがある | 質問の数と指示の見落とし | メールにある質問の数と、答えの数が合っているか | 質問に印を付け、答えを日本語で並べてから英語にする |
| 書いても短い | 理由の展開不足 | 理由に説明や例が付いていないか | 理由、なぜなら、例の順で一理由を三文にする |
| 時間が足りなくなる | 計画と書く速さ | 考える時間が長すぎないか | 計画の時間を固定し、型に沿って書く |
| 要約が的外れになる | 読解と要点の選択 | 本文の中心を一文で言えるか | 各段落の要点に印を付け、自分の言葉で言い換える |
| 書けるが点が伸びない | 課題要件の見落とし | 質問の指示(理由の数など)を満たしているか | 採点の4観点で自己チェックし、書き直す |
作例で見る、弱い答えから直すまで
次の例は、説明のために作った架空の答えです。英検の実際の問題文や答案ではありません。意見論述の例では、「中学生はスマートフォンを学校に持ってくるべきか」という問いを想定しています。
| 種類 | 答えの例 | 診断 |
|---|---|---|
| 弱い答え | I think students should bring smartphones. They are useful. Also they are good. | 意見はあるが、理由に説明も例もなく、「useful」「good」が何を指すか分からない。内容と構成の観点で伸びしろが大きい。 |
| 直した答え | I think students should bring smartphones to school. First, they can contact their families when something happens. For example, they can call if a train is late. Second, they can look up words quickly in class. | 意見、理由1、例、理由2の順に並べた。理由ごとに「何のために」「どんな場面か」を足している。 |
答えの例は、練習の考え方を示すためのものです。実際の採点は英検協会の基準に従います。
要約の作例
要約の例では、架空の「地域の庭づくり」という文章を考えます。弱い答えは、本文の文を二、三文そのまま写してしまう形です。診断すると、中心となる考えを一文で言えていないため、写すしかなくなっています。直す手順は、各段落の要点に印を付け、「何がどうなった」を一文で言い、その文を自分の言葉で書くことです。写すより、言い換える力を練習した方が、要約の課題には向いています。
あわせて確認したい記事と講師
理由を英語にするときに語彙で止まる場合は、英検対策は単語暗記だけで伸びないことがある理由が役立ちます。過去問で点数が低かったときの見直し方は英検の過去問で点数が低かったときに、試験直前の1週間は英検一次試験の1週間前の過ごし方にまとめています。面接の準備は英検面接の3日間プラン、小学生が準2級を目指す場合は小学生の準2級挑戦も参考になります。
英検対策に対応できる講師は、Hannah先生、Haruka先生、Nikko先生のプロフィールで確認できます。英検全体のサポートは英検対策のページをご覧ください。
家庭でできる工夫
原因ごとに、家庭でも試しやすい工夫があります。
意見と理由は日本語で先に決める
英語で考えながら意見も決めようとすると、負荷が重なってしまいます。まず日本語で賛成か反対かを決め、理由を2つ程度考える。そのあとに英語にする、という順番にするだけで手が動きやすくなることがあります。
使える語彙・文法に絞って書く
難しい表現を使おうとして止まるより、自分が確実に使える単語や文法で組み立てる方が、最後まで書き切れることが多くあります。書き切ることを優先し、表現の幅は後から広げていく方が現実的です。
短い型を先に固定する
意見、理由1、理由2、まとめのように、書く順番をあらかじめ決めておくと、白紙の状態から考える負担が減ります。型に慣れてから、内容の質を上げていく方が進めやすくなります。
添削は「もらうだけ」で終わらせない
添削を受けても、同じ間違いを次の答案でも繰り返してしまうことがあります。これは、添削内容を確認した後、実際に書き直す・同じパターンで別の問題を書いてみるという一手間が抜けている場合によく見られます。
添削で指摘された点を、次に書くときに意識できているかを確認することが、練習量を増やすことよりも効果的な場合があります。Education Endowment Foundationは、フィードバックは平均では学習への効果が大きい一方、与え方によって効果の幅が広く、場合によっては逆効果になることもあると整理しています。指摘をもらうだけでなく、書き直す段階までを練習に含めるのはそのためです。
家庭や授業で使いやすい流れは、次の5段階です。1回で全部を直そうとせず、直す点を1つに絞るのがコツです。
| 段階 | やること |
|---|---|
| 1. 下書き | 時間を決めて1本書く。書きながら直さず、最後まで書き切る |
| 2. 直す点を1つ選ぶ | 内容・構成・語彙・文法のうち、次に伸ばす1つを決める(例:理由に例がない) |
| 3. 具体的な指摘を受ける | 「どこを、なぜ、どう直すか」が分かる形でもらう。全部直された答案ではなく、1点に絞った指摘が使いやすい |
| 4. 同じ問題で書き直す | 指摘された点だけを直して、もう一度書く。書き直した答えと最初の答えを並べて比べる |
| 5. 別の問題で使う | 数日後、新しい問題で同じ点を意識して書く。ここで直っていれば、身についたと判断できる |
自信と完璧主義への配慮
完璧な文章を書こうとするあまり、最初の一文から動けなくなるお子さまもいます。この場合、内容の質よりも、まず最後まで書き切る経験を積むことを優先した方が、結果的に上達が早くなることがあります。
Petra Tutorsの進め方
Petra Tutors(ペトラチューターズ)では、ライティングで止まっているお子さまに対して、まずどの段階で止まっているのかを確認します。質問理解や意見決めで止まっている場合は、英語の練習の前に、考え方を整理する練習から始めることもあります。
英検の単語や読解でつまずいている場合は、あわせて基礎から見直すこともあります。



