「ついていけない」を、5つの場面に分けて見る
同じ「ついていけない」という言葉でも、実際に起きていることはお子さまによって大きく異なります。原因を一つに決めつけず、まず「どの場面で」困っているのかを分けるところから始めます。
| 場面 | 保護者に見えやすいサイン | まず確認すること |
|---|---|---|
| 授業の理解 | 「先生の話が早くて分からなかった」と言う。宿題の指示を取り違える | 指示(instructions)を自分の言葉で言い直せるか |
| 読解 | 教科書や課題文を読むのに時間がかかる。読み終えても内容を説明できない | 音読はできるのに、内容の説明が止まらないか |
| Writing | 白紙のまま止まる。書いても短い、または構成がまとまらない | 内容(アイデア)が出ないのか、英語にできないのか |
| 語彙・文法 | 日常会話は問題ないのに、教科の言葉や長い文で止まる | 教科特有の語彙(academic vocabulary)を知っているか |
| 発言・参加 | 内容は分かっているのに、授業で手を挙げない。グループ活動を嫌がる | 理解の問題か、自信や慣れの問題か |
会話が流暢でも、授業で使う英語は別のもの
インター校では「友達とは普通に話せるのに、授業や課題になると難しい」という状況がよく起こります。これは珍しいことではありません。日常会話の英語と、授業・教科書・レポートで使う英語(学習言語)は、求められる力が異なるためです。
学習言語の力は、言語教育の分野でも日常会話の力とは別に扱われ、身につくまでに時間がかかるとされています。会話が流暢であることは大切な力ですが、それだけで授業の読み書きの力が保証されるわけではありません。
| 日常会話の英語 | 授業・課題で使う英語 |
|---|---|
身振りや表情、場面が助けになる。短い文、身近な単語が中心。間違えても会話は続く。 | 場面の助けが少なく、文章だけで理解する。抽象的な語彙や長い文が増える。理由や比較を、順序立てて書く必要がある。 |
家庭で気づけるサインと、考えられる原因
宿題や持ち帰ったプリントを一緒に見ると、どこで止まっているかが見えてきます。次の表は、観察しやすいサイン、考えられる原因の例、家庭で確認できることの対応です。あくまで見分けるための目安であり、原因を断定するものではありません。
| 見えるサイン | 考えられる原因の例 | 家庭でできる確認 |
|---|---|---|
| 読むのに時間がかかり、内容が残らない | 語彙が足りない/読むスピードに慣れていない | 段落ごとに「何についての話だった?」と一言で聞く |
| Writingが白紙、または短い | アイデアが出ない/構成の型を知らない | 日本語で先に主張と理由を話してもらう |
| 教科の言葉だけ理解できない | academic vocabularyに触れる量が少ない | 単元の重要語を5つ選び、自分の言葉で説明してもらう |
| 文法の間違いが毎回同じ | 文のルールを意識して見直す習慣がない | 同じ間違いを一つだけ拾い、書き直してもらう |
| 授業で発言しない | 自信がない/間違いを避けたい | 家で一度答えを声に出してから、発言に挑戦する |
学校のプリントや課題文を一枚選び、お子さまに「これは何について書かれていて、何をすればいいの?」と聞いてみてください。日本語で構いません。
答え方で分かること
説明できるなら理解はできていて、英語で表す段階が課題かもしれません。説明が止まるなら、読解や語彙の確認が先です。
転校・移行期に特有の負荷
転入直後や、学年・カリキュラムが変わる時期は、英語力そのものが変わっていなくても、授業のペースや宿題量に一時的についていきにくくなることがあります。数週間から数か月で落ち着くこともあれば、特定の技能(読解・Writingなど)に課題が残ることもあります。
「以前はできていたのに、最近急にできなくなった」という変化がある場合は、英語力の問題というより、環境の変化に対する一時的な負荷である可能性も考えられます。
1週間、家庭で観察してみること
特別なテストは必要ありません。普段の宿題の時間に、次の点を見ておくと、学校や講師に相談するときの材料になります。
個別サポートでできることと、別の相談が必要なこと
| 個別サポートで取り組めること | 学校や専門機関への相談が先のこと |
|---|---|
読解で、どこで意味が取れなくなるかの確認。Writingの構成の型づくり。教科の重要語の整理。発言前の準備練習。小さな成功体験を積むことによる自信づくり。 | 学校での評価や成績のつけ方。授業の内容や宿題量の調整。学習面以外で気になる様子が続く場合。課題の提出物を代わりに完成させることは、個別サポートでは行いません。 |
この記事が示すのは、学習面でのつまずきを整理するための教育的な視点です。発達障がい・学習障がい・不安障がいなどの医学的な診断を行うものではありません。英語力のサポートを続けても改善が見られない、学習面以外でも気になる様子が続く場合は、学校の先生やスクールカウンセラー、専門機関にご相談ください。
学校の先生に聞いておきたい5つのこと
「ついていけない」と感じたとき、家庭だけで判断せず、学校の見立てを聞くと全体像が見えやすくなります。
- 授業中の理解、読解、Writing、発言のうち、先生から見て気になる点はどこか
- 同じ学年の生徒と比べて、英語の面での様子はどう見えているか
- 評価(成績やコメント)で、特に重視されている項目は何か
- 学校の中で受けられる英語のサポートはあるか
- 家庭でサポートする場合、どの教材・どの課題に絞るのがよいか
次の一歩の目安
やることを増やすより、順番を決めるほうが続きます。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 今週 | 5つの場面のどこで止まっているかを、プリント1枚で確認する |
| 2週間 | 止まる場面を1つに絞り、宿題の前に5〜10分だけ短く取り組む |
| 1か月 | 変化を見て、学校への相談や個別サポートの利用を検討する |
Petra Tutorsのサポートの考え方
Petra Tutors(ペトラチューターズ)では、「英語についていけない」というご相談をいただいた際、まず授業理解、読解、Writing、発言のどこに課題があるかを確認します。
英語力そのものよりも自信や慣れの問題である場合は、まず小さな成功体験を積むところから始めることもあります。学校の教材を使ったサポートも、対応可能な講師と内容を確認したうえでご案内します。



