「英語ができないから書けない」とは限らない
英語での日常会話には問題がなくても、Writingの課題になると手が止まるお子さまは多くいます。これは、英語力そのものではなく、課題の理解や構成、根拠の示し方といった、Writingに特有の技能が原因になっている場合があります。
止まりやすい原因を整理する

- 課題(アサインメント)そのものの意味を正確に理解できていない
- 先生が何を期待しているのか分からない
- 書く内容(アイデア)自体が思いつかない
- アイデアはあるが、構成(順番)が決められない
- 段落ごとの主張を支える根拠(エビデンス)が薄い
- 使える語彙・文法の範囲が狭い
- 評価基準(ルーブリック)の読み方が分からない
- フィードバックをどう次に活かせばいいか分からない
止まる場所から、原因を絞り込む
「Writingが苦手」とひとまとめにすると、対策も漠然としてしまいます。Writing以外の場面も含めて学校の英語全体でつまずいている場合は、インター校の英語でつまずく原因の整理も参考にしてください。まず、お子さまがどの場面で手が止まるのかを見ると、確認するべきことと次の一手がかなり絞れます。下の表は、止まる場所を入口にして、考えられる原因を整理したものです。
| 止まる場所 | 考えられる原因 | 確認すること | 次の一手 |
|---|---|---|---|
| 書き始める前 | 課題の理解 | 課題を自分の言葉で説明できるか | 課題を日本語と英語で言い換えて書き出す |
| アイデアはあるが最初の段落に入れない | 構成 | 答えの中心(主張)を一文で言えるか | 書く前に、主張と段落ごとの要点だけのアウトラインを作る |
| 主張だけで文章が止まる | 根拠と説明 | 「なぜ」「どうして分かるか」に答えられるか | 主張、根拠、その根拠がなぜ主張を支えるかの順に足す |
| 書けるが毎回同じ点を指摘される | フィードバックの活用 | 指摘を受けて実際に書き直したか | 同じ段落を書き直し、次の課題の最初に同じ点を見直す |
| 表現が単調になる、辞書を引き続ける | 語彙・文法 | 言いたいことを日本語や簡単な英語では言えるか | 言いたいことを簡単な英語に直してから、使える表現を一つずつ足す |
| 評価が低い理由が分からない | ルーブリックの読み方 | 評価項目ごとの点数を見ているか | 最も低い項目を一つ選び、その項目の上の段階の文言を読む |
表は固定の判定基準ではありません。実際には二つ以上が重なることが多いため、いちばん手前の段階から確認する方が、遠回りになりにくくなります。
作例で見る、課題から書き直しまでの流れ
ここでは、実在の生徒ではなく、説明のために作った例を使います。課題は「学校が提供する昼食は、生徒の健康のために有効か。理由と根拠を挙げて論じなさい」というタイプの議論文を想定しています。
| 段階 | やること | この例での内容 |
|---|---|---|
| 1. 課題 | 指示語と求められる行為を見つける | 「論じなさい」なので、賛成か反対かの立場と理由が必要。「健康のため」が判断の軸になる。 |
| 2. 必要な根拠 | 何が根拠として認められるかを確認する | 授業で扱った資料や、栄養に関する具体的な情報。個人の感想だけでは弱い。 |
| 3. アイデア出し | 日本語で出し切る | 栄養バランス、食べ残し、選べる自由、家庭の負担などを書き出す。 |
| 4. 主張 | 一文で答えを決める | 「学校昼食は、栄養の偏りを減らす点で生徒の健康に有効である。」 |
| 5. 段落の計画 | 段落ごとの役割を決める | ①栄養の偏りの改善 ②食べ残しという課題 ③それでも有効と言える理由。各段落に根拠を一つずつ置く。 |
| 6. 下書き | 完璧を目指さず最後まで書く | 表現に迷う箇所は日本語のままでも構わないので、まず形にする。 |
| 7. フィードバック | 指摘を分類する | 「②で根拠が主張を支えていない」と「語彙が単調」の二つ。優先は根拠の方。 |
| 8. 書き直し | 指摘を使って直し、次に活かす | ②に具体的な情報と「だから主張を支える」説明を足す。次の課題でも段落ごとに同じ確認をする。 |
この流れで大切なのは、英語の文を作る前に、課題、主張、段落の役割を決めておくことです。英語でつまずいているように見えても、4と5が決まっていないだけで手が止まっているケースは少なくありません。
ルーブリックを、書く前に使う
多くのインター校では、Writingの課題にルーブリック(評価基準の表)が用意されています。内容、構成、語彙・文法などの項目ごとに、どの水準なら何点かが文章で書かれています。返却された採点を見るためだけでなく、書き始める前に読むことで、先生が何を期待しているかが具体的に見えてきます。
使い方の手順は次のとおりです。まず、評価される項目を数えます。次に、各項目の文言から「分析する」「比較する」「根拠を挙げる」といった動詞に印を付けます。そのうえで、真ん中の水準と上の水準の文言を並べて読み、違いが何かを探します。多くの場合、上の水準では「具体的」「一貫して」「説得力がある」といった程度を表す言葉が加わります。最後に、その違いを本人の言葉でチェックリストに直します。
学校や科目によって、ルーブリックの項目名や点数の付け方は異なります。必ず、そのお子さまの学校から配られたものを使ってください。
フィードバックを「次に使える」形にする
返却された課題へのコメントは、読むだけでは次の課題に反映されにくいものです。英国のEducation Endowment Foundation(EEF)は、Teaching and Learning Toolkitのフィードバックの項目で、フィードバックは費用に対する効果が高い方法の一つとしています。同時に、与えた後に、生徒がそれを活かして取り組む機会を設けることも重要な論点として挙げています。つまり、コメントをもらうことと、それを使って書き直すことは、セットで考えた方がよいということです。
家庭で取り入れやすい手順は、コメントを一つ選び、該当する段落だけを書き直し、次の課題で同じ点を最初に確認する、という三段階です。すべての指摘を一度に直そうとすると負担が大きくなるため、ルーブリックで最も点数が低かった項目に関する指摘から選ぶと進めやすくなります。
また、EEFの中等教育向けリテラシーのガイダンスは、エッセイのような長い課題は生徒の認知的な負担が大きいため、課題を小さな手順に分けることを推奨しています。上の作例の8段階も、この考え方に沿って、書く作業を小さく区切ったものです。
家庭でできるサポートの範囲
家庭でのサポートは、内容を代わりに考えたり、文章を代わりに書いたりすることではなく、本人が理解し、自分で考えを進められる状態を作ることを目的にするのが望ましいです。
- 課題文を一緒に読み、何を求められているかを確認する
- アイデアが出ないときは、日本語で話しながら考えを整理する
- 構成の型(導入・本文・結論など)を一緒に確認する
- 書き終えたものを、本人と一緒に見直す(代わりに直すのではなく、気づきを促す)
保護者はどこまで関わるか
関わり方の目安は、本人の考えや文章が、最後まで本人のものであるかどうかです。次の表は、手伝ってよい場面と、控えた方がよい場面を分けたものです。お子さまの年齢や、学校がどこまでの支援を許容しているかによって変わるため、迷うときは先生や学校の方針を確認してください。
| 場面 | 手伝ってよいこと | 控えたいこと |
|---|---|---|
| 課題の理解 | 課題文を一緒に読み、求められていることを本人に説明してもらう | 課題の答えを先に教える |
| 計画 | アイデアを日本語で聞き出し、アウトラインを書く手助けをする | アウトラインの中身を親が決める |
| 確認 | 課題の要件やルーブリックの項目が入っているかを一緒に見る | 文を大きく書き換え、本人の文章でなくなるまで直す |
| 習慣づくり | 書く時間と場所を決め、小さな区切りで進める | 宿題を親の作業にしてしまう |
Petra Tutorsのサポートの考え方
Petra Tutors(ペトラチューターズ)では、Writingの課題で止まっているお子さまに対して、まず英語力の問題か、それ以外の段階の問題かを確認します。読んだ内容を分析につなげる練習が必要な場合は、IBの要約から分析への書き方も併せてご覧ください。課題理解やアイデア出しで止まっている場合は、英語の練習の前に、考え方を整理する練習から始めることもあります。
学校の教科書や宿題を使ったサポートも可能ですが、提出物を代わりに完成させることはしません。本人が理解し、自分で進められる状態を作ることを目的にしています。
IBやインター校の英語課題に対応できる講師は、Tina先生、Cian先生、Dominic先生のプロフィールで確認できます。日本語での補足説明が必要かどうかは日本語サポートが役立つ場面で、学習全体の相談先はインター校サポートで案内しています。



