日本語と学校言語は競争にしなくてよい
家庭で日本語を使う時間があるから、学校言語が必ず弱くなると考える必要はありません。HealthyChildrenの多言語FAQは、継承語を使い続けることだけを理由に子どもが混乱したり、英語学習が妨げられたりするわけではないと説明しています。
ASHAも、複数の言語を使うことが子どもを混乱させたり言語の遅れを引き起こしたりするわけではないとし、使って練習する機会を日常に作ることを勧めています。大切なのは、家庭で自然に続けられる日本語の環境と、学校で必要な言語の使用や練習をそれぞれ確保することです。
日本語の目標を一つにしない
日本語を維持したいという言葉にも、いくつかの目標があります。
- 家族と自然に会話できること
- 本や漫画を読めること
- 作文や漢字を含む学年相応の読み書きを続けること
- 日本へ帰国したとき学校の国語に戻れること
- 日本の受験や資格に対応できること
すべてが必要な家庭もあれば、会話を最優先にしたい家庭もあります。最初に家庭の目的を決めます。
学校言語と教科学習も分ける
英語やオランダ語を学ぶことと、数学や理科を理解することも同じではありません。
教科の概念が分からない場合は教科支援が必要です。概念は分かるが問題文や作文が難しい場合は教科学習で使う言葉の支援が必要です。学校の先生に質問できない、課題の指示を理解しにくい場合は、学校言語の支援が優先されるかもしれません。どこで止まっているかを分けると、家庭学習や家庭教師の目的が狭くなります。
一週間の設計は時間ではなく役割で決める
毎日何分日本語、何分英語という固定の比率を作るより、生活の中で言語の役割を決める方が続けやすい家庭もあります。小さな役割を積み重ねる方法があります。
- 家庭での会話は日本語
- 寝る前の読書は日本語と学校言語を交互にする
- 学校課題は学校言語で進め、分からない概念だけ日本語で確認する
- 週末に短い日本語作文を一つ書く
- 親族との通話では日本語を使う
読み書きは会話と別に時間を作る
家庭で日本語を話していても、漢字や長い文章の読解、作文は自然に同じ速度で伸びるとは限りません。帰国予定や日本の受験を考える家庭では、会話とは別に日本語の読み書きを続ける時間を作る必要があります。
逆に、帰国予定がなく、家族との会話を最優先にする場合は、読み書きの目標を軽くする選択肢もあります。
多言語発達について心配があるとき
ASHAやHealthyChildrenの情報は、複数言語を使うこと自体を問題と見なさない一方、個別の発話や言語の発達に心配がある場合には言語聴覚士などの専門家に相談するよう勧めています。ASHAは、コミュニケーションの問題がある場合は子どもが使うすべての言語に表れるとも説明しています。
家庭教師は言語障害を診断する役割ではありません。複数の言語すべてでコミュニケーション発達に心配がある場合や、学校や保護者が発達面の懸念を持っている場合は、有資格の専門家への相談を検討してください。
家庭で作る8週間の目標
次の順に進めます。
- 日本語の目標を一つ選ぶ
- 学校言語の目標を一つ選ぶ
- 教科の目標を一つ選ぶ
- 一週間で無理なく繰り返せる行動を決める
- 4週間後に負担と進歩を確認する
- 必要なら量を増減する
- 8週間後に続けるものと止めるものを決める
海外転校の前後の学習の差を確認する方法は、海外転校の前後90日で確認したい学習ギャップで扱っています。
まとめ
海外で日本語を維持することと、学校言語や教科学習を支えることは、どちらか一方を選ぶ話ではありません。日本語の会話、読み書き、学校言語、教科を別の目標として整理し、家庭で続けられる形にすることが大切です。
ペトラチューターズでは、すべてを最大化するより、子どもの学校生活と家庭の目的に合わせて優先順位を決める考え方を重視しています。



